ぼくらの七日間戦争 アニメ化
「ぼくらの七日間戦争」のアニメ化が決まった折に(2019年夏のことでした)楽曲「Seven Days War」(By TM NETWORK)の使用許諾が来ました。実際に使われるのはインストなので、歌詞は関係ないのですが、著作権上私にも許諾申請が来ます。最初の映画に使われたことを改めて光栄に思います。TMの存在と、小室哲哉さんの楽曲のちから、だと思います。
許諾申請の後に、制作の方が映画と音楽についてのトークイベントをするということで、この曲についても語りたいので、「TMの作詞をされるにあたり、念頭に置かれていらっしゃったこと等、お聞かせ頂けませんでしょうか。」というメールを頂きました。30年も前に書いた歌詞ですが、その頃のことを思い出しつつ、それの返事として私が書いた文をここに貼り付けておきます。
----------------------------------------------以下メールの文----------------------------------------------
何を書けばよいのか迷って返事が遅くなってしまいました。すみません;
Seven Days War を書いた時は、脚本の趣旨を一番に大事にしました。
映画のタイアップが付く場合はだいたいそうです。それプラス、 TM のイメージを損なわないような歌詞を考えます。
歌詞を書いた頃は、意味不明な学則が話題になっていた頃でした。 映画自体は荒唐無稽とも言えますが、コミカルな部分もあり、純粋さも感じたので、 その趣旨は理解できました。
ただ反抗するのではなく、素直に生徒たちが「おかしい」 と思うところに共感しましたし、少なくとも後に学校が意味もなく荒れるようなそういう話ではなか った。
彼らが彼ららしくただいるために、 自分たちの気持ちを伝えたいという歌詞を書きたいと思いました。
なんでもかんでも反抗したり暴れたりするのではない、 そこはきちんと踏まえておきたいし伝えたかったのでBメロにそれを入れました。
学校は子供時代の彼らにとって大きな世界。社会に出れば、 違う世界がいろいろ広がっている。でも若いうちはそれがわかるわけもなく、 閉塞感やいらだちも感じる。
私自身も中学や高校の頃、 早くここではない世界に行きたいと思っていました。
学校で学ぶことは大事だけれども、 学校の世界が全てではないと実際わかるのは自分が社会に出た後。それを想像できない子どもたちにとっての「自分たちの居場所」 を作りたい、そういう思いをこめました。
自分たちが「変えたい」と思っている明日がどういうものか、 彼ら自身もわからなかったと思います。
それでも、何か違うものを探す姿を描いたつもりです。
今、生きている「自分たちの場所」、 大人から見れば小さくて一時的な場所だけど、 生徒にとっては毎日対峙する世界。
少しでも変えられるのなら…という気持ちです。
同時に書いた挿入歌「Girlfriend」(作曲:木根尚登さん)は、 決して彼らがただ体制に反抗して何かを壊したいのではなく、自分自身が抱えている曖昧とした明日や夢みたいなもの、そして、 素直に誰かに惹かれたり、迷ったりしている女の子に向けて、 同じように悩む男の子の敬意と励ましを込めました。
錆びついた金網や、校庭や、三編みや、夕暮れの放課後、 そういう風景を入れ込みました。
映画あってこその歌詞です。が、 私の解釈ももちろん入っています。
明日が見えない彼らがあがきつつも、 なんとか前向きに生きていこうとする姿を描ければと思いました。
それがTMのイメージにも合っていました。
もうかなり昔の歌詞なのですが…。 なんとか当時の気持ちを書いてみました。
参考になるでしょうか…。
イベントの成功をお祈りします。 本当にギリギリになってしまってすみません。
お気をつけて行ってらっしゃい。