小室みつ子 / 映画とかドラマとか戯言など

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『ラッキーナンバー7』

★★☆☆☆

 2週間前に見た映画の感想を今頃。


 とにかく豪華なキャスティングにまず驚きです。主演のジョシュ・ハートネットに、ブルース・ウィリス、サー・ベン・キングズレーモーガン・フリーマンルーシー・リューなどなど。これだけの人たちが普段のギャラを取っていたら映画が成り立たなそう。みんな脚本が気に入って参加したんでしょうか。


 話は、コン・ゲームと叙述トリックをうまく混ぜ合わせた感じ。冒頭の空港のシーンで、ブルース・ウィリスが見知らぬ男性にする昔話(再現映像つき)で、だいたいの筋は読めてしまったりするし、再現映像の中に出てくる人物が後で誰かも推測できてしまう。それでも、十分におもしろくなる要素はあるはずなんだけど…。


 以下ネタばれ


 ジョシュ・ハートネットがやたらに災難に会う男として出てくるんだけど、話を最後まで見るとあまり必要のないアクシデントが多いです。強盗にあったとか、鼻を殴られたとか、借金の多い他の男性と間違われるとか。まあすべては叙述トリックで観客を騙すためのものであるし、隣の部屋に住むルーシー・リュー対処のためのエピソードでもあるんだけど、なんかイマイチ必要性が感じられない。まあそこらへんはツッコミなしでコミカルに描かれていている部分を楽しめばいいのかな。


 話の始まりは、元GFの浮気現場を見てアパートを出たジョシュが友達の部屋に行くと留守。でも勝手に入り込んでバスを浴びているところに、次々といろんな人がやってくる。隣の女の子やギャングの手下やら。二組のギャングのそれぞれのボス(ラビとボス)に引き合わされ、人間違いされたまま借金をチャラにするために、それぞれのボスに人を殺せといわれるジョシュ。さあて困った。そこにコミカルに絡んでくるルーシー・リューとの恋。設定はおもしろいんですけどね。


 でも、豪華なキャスティングのわりに、それぞれの魅力が全く引き出されてない気がしました。よかったのは個人的にルーシー・リューくらい。小柄でそばかす顔の東洋人の彼女、動いてしゃべりだすととても愛くるしい。声がかわいい。コメディに似合ってる。『キル・ビル』の時も好きだったけど、これでまた好きになりました。ブルース・ウィリスも渋くてカッコいいんだけれど、『シン・シティ』や『アンブレイカブル』の演技のほうがずっと好きなんで、今回はそれほど感銘を受けなかった。


 キングズレーとフリーマンは、もったいない…って感じです。淡々と話は進んでいって最後にネタばらしなんだけど、叙述トリックのための伏線ていう感じで特に最後に、「おお!!そうだったのか!!」という驚きも少ないし、復讐劇として見ても復讐する側にあまり感情移入できないまま終わってしまう。人を殺しすぎだし。ラビ(キングズレー)の息子まで殺さなくてもいいんじゃないかな…と思うんで、なんか、終わっても爽快感はないし。


 ルーシー・リューが最後に助かるのも見え見え。まああれで死んだらひどい映画だと思うけど。プロのスナイパーは胸じゃなくて絶対頭を狙うと思うんだけどなー。それも確実に殺すために2回撃つ。これ鉄則。まっすぐ自分を見返す子供を殺せなかったバッド・ドッグ(暗殺者のあだ名)だから、女の殺し方も甘いってことで納得しておきます。


 夫は「けっこうおもしろかった」って言ってたけど、私はわくわく感もなく、たまに笑いを入れつつ淡々と進む話に途中で退屈してて、最後も特に感慨もなく終わってしまいました。決して悪くない映画なのに、なんだろ、この物足りなさ感は…。うまく説明できない。


 しかしキングズレーの殺され方見て、『砂と霧の家』(これはとてもいい映画です!)を思い出してしまいました。それと、ジョシュ・ハートネットって見るたび、トミー・リー・ジョーンズと血縁?とか思ってしまうのですが。トミー・リーが若い頃ってこんな顔してたような…。あと身体が締まってなくて、ぼちゃぼちゃっとした筋肉の少ない上半身が意外。もうちょっと鍛えてほしかったり…(個人的趣味)。


 それと、映画見始まって「あれ?」と思った部分あり。原題が「Lucky Number Slevin」ってなってる…?? なんで邦題は「ラッキー・ナンバー7」なんだろう??と思うのですが、問題の馬がレースの時7番だったらしいです。でもなんとなくこの邦題だと軽い感じがしてしまうような気がする…。